暮らしのつぶ

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じわじわ重みがくる。映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

クウェンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの共演で話題となった映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。

先日やっと見ることができました。

昔のハリウッドが舞台らしい、という非常にあやふやな情報のみで見始めた本作。

約2時間40分もの長篇で、途中「このシーンこんなに長く必要・・?」と思うところもありましたが、劇中は'60年代のヒット曲であふれ、明るくポップな演出が随所に散りばめられています。

しかし、ラストの急激な展開に呆然。

見終わった後にいろいろ事実確認したくなり、検索しているうちに余韻が徐々に重みを増すものとなりました。

■ あらすじ ■

リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)は、かつて西部劇で人気を馳せたテレビ俳優。今は悪役や単発的なゲスト出演があるだけで、焦りを感じる日々を過ごしています。

そんな彼を公私にわたって支えるのが、リックのスタントマン兼付き人を務めるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。

クリフもまたなかなか仕事にありつくことができないのですが、持ち前のマイペースさでリックの送り迎えや雑用などを淡々とこなしています。

ある日、リックの家の隣にロマン・ポランスキー監督とその妻で女優のシャロン・テートが引っ越してきます。

落ちぶれたリックとは対照的に、今を時めく映画監督と人気急上昇中の女優の生活は華やか。同世代の友人たちとパーティーに明け暮れる日々は、時代の空気感をそのまま反映しているようでもあります。

そんな2人と親しくなって、なんとか映画の仕事をもらえないものかと願うリックでしたが、またしても西部劇で悪役を演じることに。監督の無理な要望に戸惑いつつ、緊張の面持ちで撮影に挑みます。

一方、クリフは以前から見かけていたヒッピーの少女と知り合いに。彼女が仲間と住んでいる場所が昔の撮影所だったため、不審に思って少女と一緒に車で向かいます。

■ディカプリオ演じるリックにはモデルがいる?

見終わってまず疑問に感じたのが、「これってどこまで本当の話なの?」ということ。

というのも、劇中にはロマン・ポランスキーを始め、ブルース・リースティーブ・マックイーンなど、あまり映画に詳しくなくても聞いたことのある実在の人物が登場するからです。

一番気になったのは、ディカプリオ演じるリック・ダルトン。西部劇で活躍した俳優という設定は、いかにも実在しそうな感じです。

しかし、結論から言うとリック・ダルトンは架空のキャラクターなのだそう。ただ、映画「ブギーナイツ」で様々な賞を受賞したバート・レイノルズがモデルだとされています。

■非業の死を遂げたシャロン・テート

リックとクリフのストーリーと並行する形で描かれるのが、ロマン・ポランスキー監督の妻シャロン・テートの日常です。

私は何の予備知識もなく本作を見ましたが、現実のシャロン・テートは単なる偶然によってカルト信者の標的にされ、非常に残酷な殺され方で亡くなっています。

そして映画では、この実際の事件がもう一つの大きな題材になっているようなのです。

ちなみに事件の詳細については、こちらの記事がとても参考になります。

タランティーノ監督自身は「映画の歴史を知らなくても大丈夫」的な発言をしていますが、個人的にはシャロン・テートについて知っておくと、感じ方がかなり変わると思います。

タランティーノ流の正義を感じるラスト

ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、シャロン・テートの事件をふまえた上でラストの展開を思い起こすと、過激に思えた演出がぐっと深みを増します。

それは、映画だからこそ表現できるタランティーノ流の正義のようであり、クリフが「スタントマン」であることも、最後に非常に大きな意味合いを持つのです。

 

■劇中曲はサントラで楽しもう!

前述の通り、劇中では'60年代のヒット曲や名曲がたくさん流れます。

リアルタイムで聴いていた世代はもちろん、全く知らない若い世代もきっとお気に入りの曲が見つかるはず。

鑑賞後はぜひサントラを楽しみましょう♪